
マリオカート ワールドの開発裏側には、意外な軌跡がありました。プロデューサーによると、この意欲的なレースゲームは当初Switch初代ハード向けに構想され、その後Switch2向け次世代フラッグシップタイトルへと進化したとのこと。開発チームがハード世代を超えてビジョンを適応させた過程をご紹介します。
マリオカート ワールド開発者インタビュー
2017年に始まったプロトタイピング

マリオカート8 デラックスがNintendo Switchのレースゲームを席巻していた2017年、マリオカート ワールドの萌芽は既に生まれていました。5月21日配信の「開発者に訊きました」シリーズで、矢部功佑プロデューサーはチームが同年3月の発売直後からプロトタイプ制作を開始した経緯を明かしました。
「マリオカート8 デラックスで我々のフォーミュラは完成させました」と矢部氏は説明しつつ、「ただコースを追加するだけや『マリオカート9』と呼ぶだけではない、より大きな構想を持ちたかった」と語りました。実は開発初期段階のコンセプトアートには既に「マリオカート ワールド」の名称が存在しており、シリーズに対する野心的なビジョンが伺えます。
Switch2への移行

プログラミングディレクターの佐藤健太氏は、2017年時点の構想が次世代ハードを必要とするとチームが気付いた決定的瞬間を語りました。「2020年までに、我々のオープンワールド構想の規模がSwitch初代では処理不可能だと判明した」と佐藤氏。当初は仮仕様での作業により不安もありました、特に60fpsの滑らかなパフォーマンス維持に関しては懸念材料でした。
Switch2開発キット到着後、不安は興奮へと変わりました。美術ディレクターの石川正明氏は創造的自由を得たと振り返ります:「突然、これまで不可能と考えていた詳細な環境表現——豊かな草木や複雑なテクスチャ——が追加可能になりました」。ハード移行は開発を複雑化させるどころか、意外な創造の扉を開いたのです。
牛キャラのレースデビュー

トレーラーで衝撃的に公開されたプレイアブル牛キャラクターは、チームの遊び心ある革新の一例です。「元々はレースで避ける背景NPCでした」と石川氏は笑いながら、デザイナーのスケッチが発想を転換させた経緯を回想。「環境要素にこんな可能性があったとは」
チームは牛の登場が相互接続された世界観構想に自然に適合すると気付きました。新キャラクターに留まらず、多彩なバイオームや動的な地形相互作用を取り入れたコースデザインを再構築。食品要素は視覚的変化を加え、カートの物理演算も地形に適応するため、各レースが独自の体験となります。

2025年6月5日発売日が迫るマリオカート ワールドは、任天堂がSwitch2の性能を披露しつつ、シリーズ愛されるカオスな楽しさを保持する姿勢を示しています。2017年のプロトタイプから次世代ローンチタイトルへ至る開発旅程は、ハード進化がいかに創造的ブレークスルーを刺激するかを実証しています。
マリオカート ワールドの開発経過とSwitch2発売詳細に関する最新情報は、下記の特集ページで随時アップデート中です。